この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
父親が亡くなり、兄弟で、父親が所有していた賃貸アパートを相続して共同所有することになりました。アパートの管理全般は、アパートの1室に住んでいる兄が行っており、当初は私に対して賃料収入を分配してくれていましたが、途中から全く分配してくれなくなりました。賃料を分配してほしいとお願いしに行っても、兄は、「自分が全て管理しているのだからおまえに権利はない」などと言って怒り出し、話もできない状態です。私は他県に自宅がありアパートを管理することはできませんし、兄も手が回らないようで、アパートの管理状態はあまりよくないようです。どうしたらよいでしょうか。
解決への流れ
相手方が頑なな態度であったため示談では解決せず、訴訟を提起することになりました。訴訟の方針としては、ご依頼者様と相談をさせていただき、これまでの未払いの賃料の分配を請求するとともに、賃貸アパートを売却してその売却代金の分割を求めるということになりました。その結果、過去の賃料と賃貸アパートの売却代金の分割分を合わせて、約7000万円の金銭を取得することができました。
本件事件のように、相続の発生によって相続人間で不動産を共同所有する状態となることがあります。共同所有の状態となった場合、当該不動産を売却するためには共同所有している相続人全員の承諾が必要となり、相続人個人の意思だけで不動産を売却することができなくなります。そして、もし共同所有している相続人の一人が亡くなると、当該相続人の配偶者や子などの相続人が不動産の共有持分を相続して、不動産の共同所有者の数がさらに増えて売却などすることがより困難となります。不動産の共同所有による問題の根本的な解決方法としては共有関係を解消することがありますが、共有不動産の問題に関してお困りの際は、当事務所までご相談ください。