この事例の依頼主
40代 男性
相談前の状況
性格の不一致を原因として,一方的に妻が子供(8歳)を連れていき,別居状態となりました。妻からは,離婚と親権を要求されました。妻と婚姻関係を継続するつもりはないので,離婚は応じても良いが,親権については絶対に譲れないと考えています。もし,母親が親権者となるのであれば,養育費を支払うつもりはなありません。別居後,子供とは全く会わせてもらえていない状態で,生活費もまったく渡していません。
解決への流れ
父親の親権取得が容易ではないとの助言を受けて,子供との面会交流を実施することを優先するこにしました。また,離婚についても,すぐには応じないことにしました。子供との面会交流時に,婚姻費用の相場より若干上回る金額を妻に渡すことを続けました。当初,調停申立を検討していた妻の態度も,面会交流を重ねるうちに,徐々に変化してきました。最終的には,妻と同居することができ,離婚を回避できました。
法律上,養育費や婚姻費用の支払い義務は免れないことを説明し,納得してもらった上で,逆にこれを最大限利用することを提案させていただきました。算定表を上回る婚姻費用を受け取っている場合,妻側から,調停を申し立てるのことには,心理的に強い抵抗感があります(調停の結果,減額される可能性があるため。)。一旦,調停が始まってしまうと,夫婦関係を戻すことは非常に難しいです。また,別居の原因も,「性格の不一致」という事情であることから,離婚訴訟を提起しても,容易に離婚が認められる事案ではないことが,最終的には,妻側にも理解してもらえたということも大きいと思われます。