この事例の依頼主
50代 男性
相談前の状況
セクハラを理由として懲戒解雇され、かつ退職金を半額支給とされた労働者からの相談でした。懲戒解雇が相当かどうかは争う余地があるとしても、セクハラの事実自体は否定できない事案でした。相談の結果、懲戒解雇そのものは争わないこととし、半額支給された退職金の残額の請求について依頼を受けました。
解決への流れ
受任後、依頼者から提出を受けた資料を検討したところ、退職金の減額支給について就業規則上、充分な根拠がないと判断できました。内容証明郵便を送付して退職金残額を請求し、強気に交渉した結果、約8割の支払いを受けることで合意に達しました。
「懲戒解雇になれば退職金は出ないもの」というのは世間一般の常識の如くですが、法律上は必ずしもそうではありません。退職金規程があり、退職金の支給が会社の義務となっていながら不支給とするには不支給とすることについての規程上の根拠が必要です。懲戒解雇とされた場合、懲戒解雇が有効かどうかも大問題ですが、仮に懲戒解雇の効力自体は争わないとしても、退職金の不支給・減額支給も甘受すべきかどうかは別途、検討に値します。その意味でも、懲戒解雇を受け、退職金が不支給・減額支給とされた場合、たしかに自身に非があったことは否定できないときであっても、一度は弁護士に相談されることをお勧めします。