この事例の依頼主
30代 男性
相談前の状況
営業職をしていた依頼者様が退職の際に,本来払われるべき退職金約14万円が会社から支払われないとして,相談にお越しになりました。依頼者様が在職中に,賃金規定に変更があり,本来支給されるはずの退職金が不支給になってしまったとのことでした。
解決への流れ
依頼者様の賃金体系をよくお聞きしみると,退職金だけでなく,未払の残業代も存在する可能性が高いことが分かりました。そのため,訴訟にて,退職金だけでなく,未払の残業代も併せて請求しました。その結果,退職金と残業代を併せた解決金として160万円を受け取る旨の和解が成立し,その後,無事に支払われました。
退職金規程を含む就業規則の不利益変更については,法律上,合理的理由がない限り無効とされています。本件では,相談者様の退職金が0円になってしまうという不利益の大きさや,退職金規程の変更が十分に周知された形跡がないことから,裁判所も,退職金不支給は違法という心証となりました。この会社でも,「営業手当」という手当が,残業代扱いされるという「固定残業代」制度が導入されていました。しかし,「営業手当」が残業代である旨の明示的な規定が賃金規定上なかったことや,残業時間とは異なる基準で「営業手当」の額が決まっていたことを窺わせる証拠があったことなどから,私どもは,「『営業手当』は残業代の支払いとは言えない。」という主張を行い,この主張が有利な和解につながりました。このように,「◯◯手当」に残業代を組み込むという固定残業代を導入している会社は非常に多いので,そのような会社に勤務されておられる方は,一度,弁護士への相談をお勧めします。今回の依頼者様のように,本当は請求できるはずの残業代に気付いていない方も,多くいらっしゃると思います。