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実刑判決の被告人に「殺したるからな」と脅された――検察官は「危険な職業」なのか?
2015年04月27日 15時34分

「7年後覚えておけよ。殺したるからな」。法廷で実刑判決を受けた直後に検察官を脅したとして、滋賀県警は4月中旬、30代の男性を脅迫の疑いで逮捕した。

報道によると、男性は、強制わいせつや銃刀法違反などの罪で起訴され、3月17日に大津地裁で、懲役7年の実刑判決を言い渡された。退廷する際、公判を担当した男性検察官に「7年後、覚えておけよ。殺したるからな」と脅したとされる。この検察官が3月末、警察署に被害届を出していた。

検察官は、被告人の有罪を立証するのが仕事のひとつだ。今回のケースのように被告人から「逆恨み」されて、身の危険を感じるようなことは、ときどきあるのだろうか。元検察官の矢田倫子弁護士に聞いた。

「7年後覚えておけよ。殺したるからな」。法廷で実刑判決を受けた直後に検察官を脅したとして、滋賀県警は4月中旬、30代の男性を脅迫の疑いで逮捕した。

報道によると、男性は、強制わいせつや銃刀法違反などの罪で起訴され、3月17日に大津地裁で、懲役7年の実刑判決を言い渡された。退廷する際、公判を担当した男性検察官に「7年後、覚えておけよ。殺したるからな」と脅したとされる。この検察官が3月末、警察署に被害届を出していた。

検察官は、被告人の有罪を立証するのが仕事のひとつだ。今回のケースのように被告人から「逆恨み」されて、身の危険を感じるようなことは、ときどきあるのだろうか。元検察官の矢田倫子弁護士に聞いた。

●検察庁内部で検察官に危害を加えることは難しい

私自身は、検察官の仕事をしていたとき、切迫した身の危険を感じたことは特にありません。

というのも、検察官が仕事をする際には、被疑者と二人きりになるということは、まずありません。常に立会事務官と一緒に仕事をしていますし、被疑者を取り調べる際は、とても大きな執務机をはさんで正対します。横に立会事務官がいる状態で、被疑者などがこの大きな机を超えて、検察官に危害を加えるということはあり得ません。

また、地方の支部などの例外はありますが、検察庁の建物は、守衛が常駐する入り口で手続きをしなければ、入ることができません。

検察庁関係者はIDカードを首からぶら下げていますし、受付をした外部者はバッヂなどをつける決まりになっています。不審者はまず入ってこれないうえ、一目でわかる仕組みになっています。

こうした職務環境ですので、検察庁内部で検察官に危害を加えることは、相当難しいと言えます。

●転勤が、検察官の身の安全を図っている

仕事場以外についてですが、検察官の中でも地方検察庁のトップである検事正などは、車での送迎をされます。普通の検事よりも、より身辺が保護されているといえるでしょう。ただ、これは私が検事だったときの話なので、現在もこのような送迎がされているかどうかはわかりません。

普通の検察官は、普通に電車・徒歩・自転車などで出勤します。仕事場以外は、普通の人と同じ状態です。

ただ、検察官は、基本的に転勤族です。転勤が身の安全を守っているという側面があると思います。検索で人事異動を確認できる時代となってしまったので、現在においては必ずしも当てはまらないかもしれませんが。

それでも、検察官の中でも大きな事件を担当する検事の転勤は、基本的に全国に及びます。基本的には半年から2年くらいで転勤します。東京勤務の検事の次の勤務地が沖縄ということも、珍しくありません。外務省出向や留学により外国に行ってしまうということもあります。転勤が身の安全を確保するという役割を、未だ持っていると言えるでしょう。

●「怖い」と思いながら仕事をしている検察官はいない

犯罪に向き合うのが検察官の仕事なので、「怖い」と思いながら仕事をしている検察官はまずいないと、言ってもいいのではないでしょうか。

もちろん、不用意に自分の身を危険にさらすようなことはしませんが、犯罪者の性向を熟知し、毅然とした態度で犯罪に向き合うことを仕事としています。

万が一、何らかの逆恨みをされていると感じれば、必要に応じて、しかるべく処理をする能力を、どの検察官も持っていると思います。今回の事件においても、担当検察官は、脅迫事件として刑事手続きを進めるのが適切だと考えたからこそ、そのように手続きを進めたのでしょう。

(弁護士ドットコムニュース)

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